連帯保証人でトラブルに巻き込まれるのは、一番苦痛な借金です。
自分自身に責任が無いと言っても、連帯保証人には
- 検索の抗弁権
- 催告の抗弁権
- 分別の利益
の権利が認められていないため、債務者本人と同レベルの責任を背負わされる事になります。
それだけ責任の重いのが連帯保証人という覚悟を持って自分が保証人になる場合はならなければいけないのですが、今回の体験談をいただいた方は、複数の連帯保証人になった事で、結果的に債務整理をする事になっています。
今回の体験談を通して、債務整理の効果だけでなく、連帯保証人の怖さを学んで頂ければと思います。
連帯保証人を複数やった事で特定調停をする事に
私の知人が、複数の人の連帯保証人をやっていたことが原因で、2年前に特定調停による債務整理に追い込まれてしまいました。
きっかけは、知人が本業であるサラリーマンとしての収入以外に、副収入を得たいと思ったことでした。
そこでインターネットで副業について調べていると、保証人になるだけで数万円の収入を得られるという記事を見て、連帯保証代行会社に連絡したらしいのです。
その会社は、不動産の賃貸借契約での連帯保証人以外に、就職時の身元保証人や、病院への入院時の保証人や、コンビニのフランチャイズ契約での保証人など、手広く保証人代行サービスを手掛けていました。
知人は、副収入欲しさに、その保証人代行会社に出向いて、保証人として登録した場合のメリットとデメリットの説明を受け、その会社に保証人として登録してしまいました。
私は、保証人にはならない方がいいんじゃないのかとアドバイスしたのですが、知人は「実際に家賃の請求が連帯保証人に向かうケースは少ないだろう」と言って聞く耳を持ちませんでした。
その後、知人は連帯保証代行会社からの紹介で、複数の大学生がアパートに入居するときの連帯保証人になったり、学生が就職するときの身元保証人になっていきました。
知人は私に自慢げに、今月の副収入は5万円だとか、翌月は7万円だとか言っていました。
しかし、良いことばかりではなかったのです。確率的に考えても、100名の連帯保証人になれば、1件程度は債務不履行となり、連帯保証人が弁済義務を負う事案が発生すると思います。
まさに知人がそうでした。知人は調子に乗って、100名近くの連帯保証人になっていたのです。
ですから収入は150万円程度にはなっていましたが、就職時の身元保証人を代行した相手が、勤務先の会社に2000万円の損害を与えてしまい、その会社は債務の弁済について連帯保証人である知人に弁済請求を求めてきたのです。
身元保証をした若者は、ただちに会社を退職してしまい、行方知れずとなってしまったようでした。
知人は突然窮地に立たされてしまい、はじめは連帯保証代行会社に相談しましたが「当社はいっさい関知しない」の一点張りで話になりません。
知人は地元の弁護士会へ行って2000万円の債務について相談しました。
すると、弁護士からは身元保証の場合の弁済請求については減額される可能性が高いため、債務整理が可能だと思うと言っていただき、知人はさっそく弁護士に委任状を提出し、まずは任意整理の交渉を開始しました。
しかし3か月経過しても合意の見通しが立たないため、知人は弁護士の助言のもと、簡易裁判所へ特定調停の申し立てを行いました。
知人は、現在の債務残高と債権者、現在の年収や勤務先など、現況に関する書類を裁判所に提出しました。そして、調停委員の主導による弁済計画が債権者と知人との間で合意されました。
会社側にも注意義務違反があったのではないかということで、知人の債務は2000万円から500万円まで減額されました。
結果的には、知人は保証人にはなるべきではなかったと嘆いていましたが、サラリーマンをしていますので十分返済できると思いますし、立ち直ってくれると思います。
特定調停という裁判所を介在させる手段をとったことで、債権者側の過失を認められたことが大きな果実だったと思います。
債務整理という仕組みは、うかつな債務者の人生を救ってくれるのだと感じた次第です。
簡単に連帯保証人にならないように
ご覧の通り、お金ほしさに連帯保証人になるのは愚の骨頂です。
また、100名くらいの連帯保証人に簡単になれてしまうというところに、本当に恐ろしさを感じます。
特に、見ず知らずの人の連帯保証人になり、結果的に借金を被る事になったというところで、相当ご苦労される事になると思います。
実際、借金は2000万円から減額されたと言いましても500万円は残りますので、今後の返済を考えても相当大変です。
同じような事が起きないように、注意喚起も含めて今回の体験談が少しでもお役に立てればと思います。